ポピパ、もといPoppin'Partyに『Moonlight Walk』という楽曲がありますよね。
わたしは
この曲が
大好きです!!!!!
なぜこの曲に魅了されるのか…見当はついています。ズバリ、ドラマチックだからです。また、香澄が歌うからこそのエモさがあります。本記事では歌詞を辿りながらその所以を語り尽くしたいと思います。
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『Moonlight Walk』
作詞 中村航 氏
作曲 日高勇輝 氏
銀色の月明かりが
夜の隙間から呼んだけど
囚われてた
誘うキミの声と
指先が描く音色
ねえ もう怖くないから
1番Aメロです。さっそく来ました、この「月明かり」というワード。そもそも曲名が『Moonlight Walk』なので当然ですが、この曲は月に焦点が当てられていることが冒頭で明かされます。
幼い頃に星の鼓動を聴き、高校生になって星のシールを追いかけてランダムスターを見つけた香澄。そんな香澄が結成したPoppin'Partyの楽曲では、歌詞に「星」が散りばめられていることが少なくありません。それもそのはず、ほとんどを、星に縁のある香澄が作詞しているという設定だからです。
一方、Moonlight Walkで登場するのは「月」。曲名にさえなっています。ここで、この曲は“作られた世界観のもとで歌われている曲”であることが分かるのです。まあ、異世界転生系アニメのED曲なので必然かもしれませんが。
キミとの“永遠”を信じていいでしょ?
ここのBメロ、香澄の歌い方がめちゃくちゃツボです。とくに「でしょ?」のところ。「でしょ!?」でもなく「でしょ?!」でもなく「でしょ?」。絶妙なはてなマークが表現されています。まるで、“信じていい”ということが分かりきっているような、ある種の宣言のような清々しさがあります。「でしょー」と伸ばすのではなく余韻を残しつつ「でしょ」と良い塩梅で言い切っているのもポイントです。
Walking in the Moonlight
ずっと キミと歩いていこう
道の先は 誰も知らぬEldorado
Singing in the Moonlight
そっと 歌いながら探そう
声重ねて 迷わないように
Fly Me to the Moon!
サビです。
最高オブ最高。
歌詞、歌い方共に最高です。
まずは歌詞。「誰も知らぬEldorado」とありますが、Eldoradoとは黄金郷・理想郷のことです。つまり、理想郷へと続く道を、ずっとキミと歩いていこうと歌っているわけです。冒険譚のようでワクワクしますね。ですが、ポピパの曲と考えると少しだけ“らしくない”ですね。ポピパといえば、日常を楽しく、ときに情熱的に、ときにエモーショナルに切り取った楽曲が多いです。そして等身大の自分達をしっかりと見つめて歌っています。そうなってくると、
Walking in the Moonlight
ずっと キミと歩いていこう
道の先は 誰も知らぬEldorado
はポピパの方向性とズレてしまうような気がするんですよね。理想郷は、あくまで想像上の世界ですから。理想を追い求めるのは良いとしても、地に足がついていない感じがしてポピパらしくありません。しかし、先述した通りこの曲は“作られた世界観のもとで歌われている曲”です。何も問題ありません(高速手のひら返し)。しかも日常・等身大を得意とするポピパが歌うことによって、より歌詞を印象的にしていると言えます。
あと、最後の
Fly Me to the Moon!
が唐突で笑えます。今まで月明かりの下を歩いていたのに急に「あの月に連れてけ!」と言ってきました。も、もしや理想郷とは月のことだった?!ここはポピパらしさが垣間見えていて好きです。
続いて歌い方について。
①Walking in the Moonlight〜
と
②Singing in the Moonlight〜
とで対になっています。聴き比べてみれば分かると思いますが、①はWalking in the Moonlightといった感じに、アクセントをつけて力強く歌っています。サビの入りとしてもインパクトがありますし、先述した冒険譚な感もあります。対して②は流れるように歌っていて、まさしく歌詞の通りですね。歌を口ずさむように歌っています。サビに入ると、まず力強く歌ってリスナーの心を掴み、次いで同じメロディーを違った形で歌う。聴いていて飽きません。
水面に映る月影
両手で掬い上げればGoodbye 儚い夢
閉じた瞼くすぐる光が 道しるべだよ
ほら もう迷わないから
2番Aメロです。
【現代語訳】
水面に月影が映っている。それを両手で掬い上げようとしたら水面が乱れて月影も消えてしまった。儚い夢のようだ。
目を閉じてもなお瞼の裏に浮かぶ月光が道しるべになる。もう迷わない。
古典の授業みたいですね(笑)
それにしても、こんな情緒たっぷりな歌詞を香澄が歌っていると考えると、こう……クるものがありますね。成長したなぁとしみじみ…ガルパの3Dライブに追加してくれませんかね?きっと香澄がどんな表情をしていてもエモいって騒ぎます。
キミと夜明けを待ってもいいでしょ?
1番と同様、このBメロの「でしょ?」がツボです。
また、この歌詞については後に語りますので重要です。頭に入れておいてください。
Walking in the Moonlight
もっと キミと見つめていたい
道の途中 森の中の謎迷宮
Shining in the Moonlight
ずっと 迷い続けていたい
内緒の歌 夜が明けぬように祈ってる
サビです。
至高オブ至高。
至高の極みです。
Walking in the Moonlight〜
と
Shining in the Moonlight〜
の歌い方の対比が素晴らしいのは1番のところで申し上げたとおりです。2番では「Shining」になっていますね。1番の「Singing」では歌うように歌っていると感じますが、2番では輝いているように聴こえるから不思議です。さすがに幻覚かもしれない。
Shining in the Moonlight
ずっと 迷い続けていたい
内緒の歌 夜が明けぬように祈ってる
「内緒の歌」とは、1番に出てきた
Singing in the Moonlight
そっと 歌いながら探そう
で歌っていた歌でしょう。つまり、この“歌”は祈りの歌。月明かりに照らされて、ずっと迷い続けていたい。内緒の祈りの歌を歌いながら、夜が明けないように祈っている。
そして、注目したいのが
「ずっと迷い続けていたい」です。
1番サビで
迷わないように
と言っているし、2番Aメロで
もう迷わないから
と言っているんですよね。迷わないように努めているんです。にも関わらず2番サビで吐露された「迷い続けていたい」という本音。これを素直で前向きで一生懸命な香澄が歌っているという事実。
あぁ…儚い…
そもそもこの歌詞、あまりポピパっぽくないですね。多くのポピパ曲では「悩み迷いながらも前に進んで行こう」といった前向きな感情が歌われているので、この、後ろ向きとは言わないまでも「ずっとここに止まっていたい」「彷徨っていたい」という感情が読み取れるのは珍しいです。普段なら絶対出てこない歌詞でしょう。先述したように、これを正反対のイメージを持つポピパが歌うことで歌詞がいっそう印象的になりますし、『Moonlight Walk』の世界観が際立つのだと思います。
…さて、まだ頭に入っていますか?
キミと夜明けを待ってもいいでしょ?
の歌詞を。
ここで2番サビの最後を振り返ってみましょう。
夜が明けぬように祈ってる
キミと夜明けを待ってもいいでしょ?とお伺いを立てたにも関わらず、舌の根も乾かぬうちに夜が明けないように祈っちゃってるんですよ!夜明け待ってたんじゃないの?!ねえ!
……とまあ粗探しはここまでにして、この矛盾しているような歌詞を深読みしてみたいと思います。
キミと夜明けを待ってもいいでしょ?
キミと夜明けを待つ=夜明けまではキミといっしょにいられるということです。
夜が明けぬように祈ってる
なぜ夜が明けないように祈るのか。それはいつまでもキミといっしょにいたいからです。夜明けまではキミといっしょにいられる。だけど夜が明けてしまったらキミといっしょにいられなくなってしまう。だから、キミと夜明けを待ちながらも、祈りが込められた内緒の歌を歌いながら夜が明けないように祈ったのでしょう。
「キミと夜明けを待つ」ことを表明しているにも関わらず、心の内では「ずっとキミといっしょにいたい、夜が明けないでほしい」と祈ってるの、
“““良”””すぎる……素直になれよ、もう…
今夜の月を覚えておこうね
ヒエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!!
なに!!!何だこれ!!!!!エモすぎる!!!!!!!頭おかしくなる!!!こわい!!!
取り乱しましたごめんなさい。
個人的に、この曲をドラマチックたらしめているのはこのCメロに拠る部分が多いと思っています。
今夜の月を覚えておこうね…って、まるで今日限りみたいな言い方じゃないですか。
いままで
キミとの“永遠”を信じていいでしょ?
とか
ずっと キミと歩いていこう
とか
夜が明けぬように祈ってる
とか言ってキミとずっと一緒にいたい!と歌ってきたのに、何だか物悲しい「今夜の月を覚えておこうね」。諦念さえ感じさせます。どれほどの間キミと一緒に歩いてきたのかは分かりませんが、とうとう別れのときが来てしまったのでしょうか。今まで自分たちを照らしてきた月を見上げて物思いに耽っている様子が目に浮かびます。
最初にこの曲を聴いたときは、2番終わりまでは「カッコイイ系の曲だな〜それでいてファンタジックな感じなのかな?というか星じゃなくて月なんだ〜」なんてノリノリで聴いていたのですが、Cメロを聴いた途端、イメージがガラリと変わりました。
な……なんてドラマチックなんだ!!!
すっかり魅了されてしまいました…
Walking in the Moonlight
ずっと キミと歩いていこう
道の先は 誰も知らぬEldorado
Singing in the Moonlight
そっと 歌いながら探そう
声重ねて 迷わないように
Fly Me to the Moon!
Cメロで撃ち抜かれたあとのラスサビです。
1番のサビと歌詞は同じですが、歌い方には違いが見られます。まるで祈りを捧げるように、噛み締めるように歌っているのです。あの、何だか終わりを感じさせるCメロからのこれですよ…もう大興奮です…興奮しすぎて呆然とします…
まとめ
歌詞だけ見ても充分ですが、等身大な日常に寄り添っているポピパが作られた世界観の曲を歌うからこそ、ドラマチックさがより際立っているのだと思います。ポピパを知っている人ほど刺さる曲なのではないのでしょうか。
ここまで読んでくださりありがとうございました。やっぱりポピパさんは最高や〜!